★去年のお節介企画はこちら↓
明日(3月8日)〜14日まで、いよいよ2月2日にメトロポリタン歌劇場で上演された『カルメン』のライブビューイングが始まります!
公演サマリーは↓
早速のライブビューイング鑑賞記
190308-14 カルメン@METライブビューイング
ライブビューイング2回目の今年の演目は《カルメン》エスカミーリョ。
去年の「ルイザ・ミラー」は、METデビュー&HD(ライブビューイング)デビューを兼ねていました。
その時が「はじめまして」の方も、きっと多くいらっしゃったと思います。
(今年2月にWOWOWで放送がありましたから、そこで観て頂いた方も多いかな?)
ルイザ・ミラーではヒロインの敵役(しかも父ちゃん役)で、役的には地味だったんですが
予想外に評判が良くて(イケオジメイクもけっこうイケてたしw)
嬉しいびっくりだったんですが!!
今年は!
素に近い状態で行けるエスカミーリョ!!
カッコ良さは去年の比ではありません!!!
それでっ。お節介企画を今年も行います。
HDで初めて彼(の名前)をご覧に(お聴きに)なる方も多いと思われます。
「あの、舌をかみそうな、なっがい名前の歌手についてもっと知りたい」
など、彼に関心を持ってくださる方がいたら、参考にして頂けるといいなあ・・と思いつつ、書きました。
実は彼の情報、日本語で検索するとほぼ8割がた、私がなんらかの形で書いたものが引っかかると思います^^;
「ヴァランシエンヌ(ヴァラリン)の主観バリバリで書かれたものじゃなくて、もっと冷静に書いてあるものも読みたい」
と思われる方のために、私の友人・バジリオさんの秀逸な記事をご紹介しておきます。おすすめ録音なども紹介して頂いて感謝・・・😊
ご一読をおすすめします。
http://basilio1929.blog.fc2.com/blog-entry-370.html
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では私の直近の主観をバリバリ入れた^^;「ヴィノグラドフさんはこんな歌手です」はじめまーす!
◆名前の表記はその時その時で変わります^^;
何よりもまず、これをお伝えしておかないといけません!!
アルファベットではAlexander Vinogradov です。
「アレキサンダー・ヴィノグラードフ」「アレクサンダー・ヴィノグラードフ」「アレクサンドル・ヴィノグラドフ」「アレクサンダー・ヴィノグラドフ」「アレクサンデル・ヴィノグラドフ」…色んな表記がありますが、
原則的には、「アレクサンドル・ヴィノグラドーフ」という表記を、取っています。
ですが、来日+市販のCDやDVDもちょっとずつ出てきたり、来日等で日本語で彼の名前を目にする機会も、少しずつ増えてきましたので、あまり拘らずに、その時々の表記を取り混ぜてます。
ということで、今回、映像配給先の松竹さんの表記に倣い、「アレクサンダー・ヴィノグラドフ」と書いてます。
◆ 楽譜に忠実、役に対していつも真摯で、歌い崩すとかいうことは絶対にしない歌手です
正直言ってアクロバティックな演技力が卓越しているとかいうことはないんですが(演技自体は割とパターン化されてるし(⌒-⌒; ))
1976年生まれ、現在42才の現代っ子とはいえ、いい意味でクラシカルなオペラ歌手だと思っています。派手さもないしね。。。
声自体もすっごく綺麗だし、低音の鳴りも充実していますが、実は高音域のいぶし銀のような輝かしさが卓越している・・・と思っています。
バス歌手って、音域の狭い中で、もごもご歌っているようなイメージの人が多いんですが、
ヴィノグラドフは音域が広く、上から下まで充実した響きを聞かせてくれる、稀有なバス歌手・・・だと思ってます。
近年は本当に安定感も抜群、METでも無理なく声が飛んできて(低音は床を這うように)
METで歌う実力を兼ね備えた歌手なんだ、と自分の耳で確信が持てたことは、本当に嬉しかったです。
◆一番多く歌っているのは「カルメン」のエスカミーリョです
ちゃんと回数を数えてはいないんですが、2014年ごろに本人も「もう100回以上歌ったなあ〜」と言ってた^^;エスカミーリョ。
恐らくそろそろ150回くらいになるんじゃないかなあ?!(その後も着実に公演回数こなしてますので)
日本でも2007年冬に新国立劇場で歌っています。
(2009年カラカスでのコンサート形式。指揮はドゥダメル)
歌い始めたのが2005年で、新国で歌ったプロダクションは2つ目でした。あの頃の彼のエスカミーリョはとにかく端正で爽やか。
「惚れた女には指一本触れないんだ・・」的ストイックさがあって、それが新鮮で、大好きでした。
しかし10年以上も歌っていれば、年相応に貫禄もつき、青年期から壮年期に差し掛かり・・・男ざかり真っ最中な感じ・・とでも言えばいいかな。
しょっちゅう歌っている割にはあまり放送に乗る機会がないんですが、昨年秋のLAでの公演が久々にかかりました。
で、それを聴いて「・・もみあげが似合うエスカミ〜リョになってきたなあ」(←)と、随分とおっさんくさく(失礼^^;)貫禄がついたなあとしみじみ。
それはそれで、いいんだろうな・・
断片映像で演技を見ると、適度にユーモアもあって、いい味を出しているなと思います。
(バックに流れて来るのはトレアドールですけど、歌は彼じゃないです)
・・なあんて思っていたんですが、HD上演に先立ち、今年は思い切ってNYCまで出向き、HD収録日を含めて3公演観てまいりました。
伸び代の少ない役かなあと思ってましたが、ちゃんと進化してますし、11年ぶりに実演で観て、初めて今の彼のエスカミーリョの方が良いな・・と素直に思いました。
これ以上はあまり語らずに(笑)あとは皆さまのご判断にお任せします。
◆ヴァルター伯爵は映像収録率75%です
昨年歌った『ルイザ・ミラー』のヴァルター伯爵は、エスカミーリョとほぼ同時期(2006〜)から歌っています。
コンスタントに歌い続けている役の一つですが、なぜか映像収録率が異様に高く^^;
2006年フェニーチェ(CD,DVD有)2008年パリ(YTに上がってます)そして昨年の2018年METと、10年のスパンがあるとはいえ、3つも映像収録してるのは今の所、この役だけです。
逆に映像収録しなかったのは、2016年ハンブルクでの公演のみ・・なので「映像収録率75%」なのです。
作品自体が他のヴェルディと比較すると少しマイナー寄りということや、意外と難しい役・・の割に、いわゆる「大物バス」があんまり手がけていないせいもあるのか、「これだ!」という歌唱に未だに出会ってないので、ヴィノグラドフの歌唱はそれなりにインパクトのあるものとして、今後もコンスタントに歌い続けて行くかもしれません(期待)
◆モーツァルトもちょいちょい歌ってます…が。
私が彼を初めて聞いたのは2004年12月のベルリンでの「魔笛」のザラストロですが、
フィガロは日本でも歌いましたし(2010年新国)
(2013年の公演用のクリップですが、使われている映像は2010年時のもの)
ドン・ジョヴァンニはかねてより「憧れの役」と言ってましたが、昨年7月の(ロールデビューになるはずだった)藤原歌劇団の公演を降板。理由は藤原歌劇団がちゃんとアップして下さっています。
こちら→→→
来日の機会がなくなったのは残念ですが、歌手にとって声は大切な商売道具であると同時に、何者にも変えがたい宝物でもあるわけで。
こういう決断ができる歌手でもある…ということです。
◆ヴェルディ・バスとして
バス歌手なら誰しも一つの到達点だと目指しているのが、「ドン・カルロ」のフィリッポだと思いますが、ヴィノグラードフも同様に、この役を長いこと目指して頑張ってきました。
2015年にブエノス・アイレスのコロン劇場でロールデビュー、
2017年冬には、今回もご一緒しているドミンゴがロドリーゴで^^;スペインのバレンシアで、2度目のフィリッポを
2018年秋にはまたまたドミンゴとご一緒させていただき、ロサンゼルスでも歌いました。
まだ名人の域には達してないけど(笑)持ち前の丁寧さと、役に対する読み込みの深さは聞き取れるかな・・・と思います。
その他ヴァルター伯爵(ルイザ・ミラー)ザッカリア(ナブッコ)アッティラ、シルヴァ(エルナー二)スパラフチレ(リゴレット)ランフィス(アイーダ)バンコー(マクベス)フィエスコ(シモン・ボッカネグラ)など
大概の役は歌ってきたと思います。
このうち、私が実演で聴いたことがあるのはバンコーのみ。この役、彼のキャラクターにすごくよく合ってていいんですよ(#^^#)
◆実はフランスものが大好きです🇫🇷
一番良く歌ってるエスカミーリョはともかく(^ω^)フランスもののバスの役については
一時期「フランス語の発音に難点大あり」
と言われていた頃もあったんですが、本人は
「もっとフランスオペラのレパートリーを増やしたいと思ってます。フランスのロマン派レパートリーはバス歌手にとって多くの美しい旋律を与えてくれますし、その魅力は尋ねて尽きることがないからです」
と2年前のインタビューで語ってます。
グノーのメフィストや「ロメジュリ」のローラン神父はちょこちょこ歌ってますし、ユグノー教徒などにも関心を示しているみたい。
私が今、彼の持ち役の中で一番好きなのはグノーのメフィスト(2016年ドイツのエッセン&2018年スペインのヘレスという小さな町で実演聴くことができたのは、何よりの私の幸せでもあり私の宝物です)ですけど、
放送にかかる機会がないのが悔しい…
直近では、2月8日にMETの公演が終了し、次の公演「ナブッコ」のザッカリアのプレミエのリハーサルの為にハンブルクに滞在しているところへ
2月16日、ウィーン・コンツェルトハウスでのコンサート形式でのベルリオーズ《ファウストの劫罰》のメフィストにジャンプイン。
現地鑑賞なさっていた方々からも大変好評でした。
◆コンサートピースのソリストとしても優秀です
彼を高く評価して下さっている方々がこぞって仰るのが
「端正で丁寧、楽譜に忠実な歌いまわし」
ということですが、これを客観的に「…だよね!」と思わせるのが、コンサートピースでの活躍。
第九は2014年に、東京でベジャール振り付けのバレエ第九(ズービン・メータ指揮イスラエルフィル)で映像も残してくれましたし、
ヴェルレク、モツレクのバスソリストとしてはもちろんのこと、お国もののショスタコーヴィチの歌付き交響曲(13番、14番)は盟友ヴァシリー・ペトレンコとの録音がありますし、ラフマニノフの「鐘」もよく歌っています。
2017年2月、日本でもおなじみクリスティアン・アルミンク指揮でショスタコ13番(第二楽章丸ごとアップされてます)
昨年秋に亡くなったモンセラート・カバリエさんの追悼ヴェルレクのバス独唱にも選んで頂きました。
◆でもやっぱり「ロシアの漢」です🇷🇺
「ボリス」はいずれ歌う時が来る…とも言ってますし、実際「オネーギン」のグレーミン公爵(YTに上がってます)や
「イオランタ」のルネ王(CD有り)でも名唱を聞かせてますが、
前出のショスタコ(特に13番)やラフマニノフに関しては、昨今のあまたのロシア・東欧系のバス歌手さんたちの中でも頭一つ抜きん出ていると信じています。
今回のライブビューイングで彼に関心を持って頂いたら是非、ラフマニノフの珍しいオペラ二本立てに出演した時の映像を観て(聴いて)頂きたいです。
「アレコ」有名なアリアもありますが、1時間ちょっとで見終えるので、これはぜひ全部観て頂きたいです。
「フランチェスカ・ダ・リミニ」のマラテスタのアリア(こちらはちょっと変わった構成なので、まずアリアから。。。)
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ここまで目を通して下さって、ありがとうございます。
彼の「人となり」がよく伝わるインタビューも紹介しておきますね。2017年12月、バレンシアでの「ドン・カルロ」出演中に受けたものです。
…ざっとこういう感じかな。また思いついたら適時追記します(^ω^)
このサイト の中も色々、探検してみてくださいね(^^/