210629-0717 Attila (title role) @ Sydney Opera House (All performances have been canceled)

シドニーで予定されていた、アレクサンドル・ヴィノグラードフがタイトルロールを務めるはずだった「アッティラ」

6月25日からのシドニーのロックダウンが7月30日まで延長されたことを受け、このままでは7月、8月の公演の目処が立たない・・・とのことで、
本日(7月16日)同時期に予定されていたアイーダ、オテロ、新演出のホフマン物語(こちらは数日前にキャンセルが決まってた)
とともに、正式に全公演キャンセルの告知がなされました。

メルボルンでの「エルナーニ」千秋楽後のとびっきりの笑顔。この笑顔をシドニーでも見たかった…

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最初のロックダウンは、1週間の予定でした。その時点で6月29日からの「アッティラ」の最初の二公演はキャンセル→残り四公演になりましたが、
翌日にはロックダウンが2週間に延びました。

その後オペラ・オーストラリアの素早い尽力により、7月10日をプレミエ、その後12日、14日、17日の四公演とリスケジュール。

この時はほんと、どれだけ嬉しかったか。
毎日朝11時(日本時間の10時)に、シドニーのあるニューサウスウェールズ州(NSW)の保健省が、前日の感染者数をツイートで流してくれるのを、一喜一憂しながら

「なんとしても、2週間で(7月9日に)解除されてほしい!!!」

と、毎日願っていました。なんせコロナ抑え込み優等生のオーストラリアですからすぐ、解除されるだろうと思っていたのです。

雲行きが怪しくなってきたのは、7月5日辺りからだったでしょうか。
一向に感染者数は減らず、地元の人のツイートを拾っていくと、どうも初動が遅れたのが原因、それも休業補償を渋っていたからではないか…など、不穏な空気が読み取れました。

そして7月7日に、7月16日までの延長に。
最初は1週間だけ、そして翌日には2週間、その上「ワクチンが鍵です。。。」でズルズルと3週間。

このままでは、7月17日の最終公演一公演のみになってしまう、それでも、公演が行われればまだ救われるけど、もしこのまままた延長になったら・・・と考えただけで、息が詰まりそうな毎日でした。

結局、感染者数は一向に減ることなく、ついにロックダウンは7月30日までとなり
この時点でもう無理だろうな。。。と覚悟はできてました。

でも、オペラ・オーストラリアのサイト上では一向にキャンセルにならず・・・
その時点で8月2日からの新演出の「ホフマン物語」は、リハーサルを行うことができないとの理由で、欧州からの演奏者がやっと2週間の隔離期間が終えたところで、全公演キャンセルという悲しい結果に。

(この顛末は「ホフマン物語」の指揮者に予定されていたCarlo Montanaro氏のインスタグラムのポストが泣けます;;
彼は5月のメルボルンでの「エルナーニ」でヴィノグラードフと共演し、その後一旦欧州へ戻ってフランスで一仕事した後、6月終わりに8月の公演のために、またシドニーへ飛んできたばかりでした)

何もできないまま帰るのはどれだけ辛いだろうと案じる反面
「もし、再々リスケで8月の「ホフマン」の空いたところにアッティラが入ることがあれば…」とも、密かに願っていました。

結局「アイーダ」「オテロ」「アッティラ」の全公演キャンセルが告知されたのは、7月16日の午後2時過ぎでした。

ゲネプロの1日前、プレミエの3日前にロックダウン、
共演者共々舞台を作り上げ、仕上げの段階に入ってたところで舞台を奪われた・・・
しかも、タイトルロールだったのに。

悲しみを通り越して悔しくて。彼の無念を思うと涙が滲んできます。

ファン歴17年に届こうとして(日付計算サイトで数えたら、16年と200日ですって)
今日までに、嬉しかったこと、悲しかったこと、腹が立ったこと、そして苦しいと思ったことも色々ありましたけど、
今日、2021年7月16日が一番悔しい日になりました。

この悔しさは私がヴィノグラードフのファンしている間は・・・一生忘れない。

タラレバになるけど、ロックダウンに入るのがあと1週間早かったら。

ロックダウンも短く済み、もう今頃は無事に終わって、家に帰って家族とゆっくりしてたかもしれない。
シドニーの感染状況は一向に収まらず、とうとうメルボルンにまで波及して、収まりのつかない所まで広がってしまった…

ところで「アッティラ」の情報だけを追って一喜一憂していたのですが、実はアッティラの後に予定されていた「オテロ」(韓国が誇るテナー、ヨンフン・リーがタイトルロールの予定だった)では、ロックダウン中に行なっていたリハーサル中、
(オペラの出演とは関係ない)劇場周辺の建設作業員の感染が見つかっていました。

ロックダウン中に何故リハーサルを行なっていたのか?という、保健省からの圧力もあった模様で、これももしかしたら、8月いっぱい全公演キャンセルせざるを得ない原因の一つになったのかもしれません。

劇場側は「今回キャンセルせざるを得なかった四公演は、近い将来にもう一度」と考えているとのことですが、
この「アッティラ」はもともと昨年2月がプレミエ、その時も3月にCOVIDが広がり始めて途中で中断した経緯もあり、今回再演への意気込みも相当だったと思います。

政治の圧力に負けた(と私は思っています)「アッティラ」だけど、劇場側の尽力には本当に感謝しています。

また、メルボルンの「アイーダ」「エルナーニ」とチームメンバーが被っていたこともあり、非常に雰囲気がいい感じでしたし、
共演者さんたちのSNSを追っていると、だいたいの様子が掴めたりとか、楽しいこともたくさんあった3ヶ月間でした。
(まさかの!ロシア語のインタビューも見つかったりね!)

5月上旬からのメルボルンの「アイーダ」「エルナーニ」に向けて、2週間の隔離期間を経て4月中旬から初めてのオーストラリアで3ヶ月間長期滞在したヴィノグラードフ。

もしもう一度「アッティラ」のプランを立ててくださる時に、もう一度ヴィノグラードフにタイトルロールの声をかけてくださるか、若しくは他の役で呼んで下されば(「ホフマン」のヴィラン4役でもいいのよ〜)
その時、COVIDが収まって普通にオーストラリアに行くことができる状況になっていれば
行きたいな、と思っています。

あーーーーーー時差1時間、っていうのも個人的には、すっごく近い感じがしてて、嬉しかったワ。
(毎日7時に起きると「んーーーー向こうは8時かw」とか、一人で勝手に盛り上がっていた・笑)

何事も起こらず、公演大成功(⇦自信あったもん)!!!で心からの喜びを携えて、(心の中で)見送ってあげたかった。

これでしばらく夏休み ⇨ 次は10月ミュンヘンでの「トゥーランドット」まで、また何もなくって私もヒマ?!になってしまうけど、
ま、ちょっとやりたいこともあるし、「ロックダウンに負けるな企画」でやり残している「死の歌と踊り」のクリップ作りもまだあるし。

悔しさは絶対忘れないけど、これ以上に辛いことは、彼にもう2度と起こらないだろう・・・と、心から願っています。

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Verdi “Attila” @ Sydney Opera House
June 29,July 1,3,5,7 and 10 →July 10,12,14 and 17
(All performances have been canceled due to lockdown in Sydney from June 25 until July 30)

Cast & Creative
CONDUCTOR Andrea Battistoni
DIRECTOR Davide Livermore
REVIVAL DIRECTOR Andy Morton
SET DESIGNER Giò Forma
COSTUME DESIGNER Gianluca Falaschi
LIGHTING DESIGNER Antonio Castro
DIGITAL CONTENT DESIGNER D-Wok

ATTILA Alexander Vinogradov
ODABELLA Natalie Aroyan
FORESTO Diego Torre
EZIO Marco Vratogna
ULDINO Virgilio Marino
POPE LEO I Gennadi Dubinsky

Opera Australia Orchestra & Chorus

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