インタビュー和訳あとがき

シドニーでのロックダウン、1週間の予定が2週間になり、ついには3週間に伸びたおかげで、せっかくリスケジュールされた公演もわずか1公演となってしまった「アッティラ」のタイトルロールを務めるアレクサンドル・ヴィノグラードフ。

(滅多にないバスのタイトルロールでもある)8年ぶりの「アッティラ」を楽しみにしていたであろうヴィノグラードフの気持ちを思うと、いたたまれないのですが、
反面、鋼のメンタルロシア男の本領を発揮してほしい。。。と、ちょっとスパルタ姉さん風を吹かせて、叱咤激励したい気持ちにもなったり。

そんな中、6月に在オーストラリアロシア人のコミュニティが発行している新聞社「ユニオン」から受けたロシア語のインタビューが見つかりました。

Александр Виноградов: Бас близок к русскому языку – Русская еженедельная газета «Единение»

全く個人的な話になりますが、かつて神奈川在住時代にロシア語教室に通い、それなりにロシア語学習に力を入れていた時期があるんですが
京都(奈良)に越してきてからは、すっかり遠ざかっていました。

なんとなく今年の春頃から「もう一度ロシア語やってみようかな。。。」という気分に振れて、4月からNHKのロシア語講座を聴き始めたところでした。

まいにちドイツ語とロシア語|ヴァランシエンヌ|note
何年かぶりにチャレンジ。 ドイツ語は20代後半に独学で検定4級は取った(3級はダメだった😓)けど、今季はTVの「旅するドイツ語」でお馴染みだったヴォルフガング君と拙者(笑)ベートーベンさんが応用編にお出ましとあって、わからないながらも、応用編もいちおう聴き続けてます。 ロシア語はせっかくの新作だし、テキスト買うリスナーがいなくなると、削減対象になりかねない危機感も感じたので、番組存続の応援の気持ちも兼ねて。  10年程前から5年程教室に通って、一通り文法は習いましたが、使いこなすには程遠いまま。転居等で生活スタイルの変化により、すっかりロシア語から遠ざかっておりました

このタイミングでまさかの、ロシア語インタビュー。
(2015年以来ロシア語ベースでは受けてなかったのに^^;)

えっ、もしかしてこれは引き寄せ(=運命)かも。。。
と、勝手に使命感に燃えるわ、燃える^^;;;;

他言語でインタビューを受ける機会も増えて、その都度機械翻訳に頼っているんですけど(最近は精度も上がってすごいわ〜〜と思うことしきり。。。)
例えば今年2月にフランス語ベースで受けてたインタビューとかね。

Interview:僕たち芸術家は今、檻の中にいるようなものなんだ!

今回は辛くても、機械翻訳に頼りたい気持ちをぐぐっと抑えつつ

「ロシア語力は非力だけど、このロシア語のテキストを紐解きたい気持ちだけは誰にも負けない、触らせたくない!!!」

との一心で、氷山を削ってかき氷を作るくらいの労力(徒労?)をかけ、自力でなんとかやっつけ、かつてのロシア語の先生に強引に連絡を取り、添削して頂いたというね。。。
(先生、本当にありがとうございました!!!)

よもや、オーストラリアで彼のロシア語のインタビューが見つかるとは夢にも思っていなかったし、
誰の役にたつかどうかは???ですが、本来の公演日に合わせて再開祈願企画と相成りました。

全訳は ♡こちら♡

ロックダウンに負けるな!シドニー「アッティラ」再開祈願企画その5 インタビュー:2021年6月、シドニーにて

ところでこのインタビューでは、彼がモスクワ音楽院に入る前の、バウマン記念モスクワ工科大学での話がちょっと出てきたのが、個人的には嬉しかったです。
(そこの付属の数学学校に通っていたのは初めて知ったぞよ)
彼が工科大学生から声楽に転向したのは、若い頃からプロフィールに載っていたので「へえ〜そうなんだ」ということは知ってたんですが、この大学名が、正確には「バウマン記念モスクワ国立工科大学」という名前だというのを、2月に受けたインタビューで初めて知りました。

で、ふと気になってググってみたところ。。。

「ロシアで最も歴史が古く(前身のモスクワ技術学校は1830年にニコライ1世が認可している)規模が大きい工科大学である」
「モスクワ工科大学はロシアでは名門大学の一つとされており、入学する学生には高い能力が要求される」

。。。えええっ!

で、今回彼がその大学の附属高校(2校あるらしい)で数学の勉強(大学では物理数学科を取ってたと聞いてたけど、もともと数学やってたのか。。。)していたと知り

「。。。天は二物を与えずというけど、あなたどんだけ天から授かってるの^^;;;;;;」

(途中で進路を変更したとはいえ)倍率10倍のトップ大学バウマンに入学して、その後チャイコフスキー記念モスクワ音楽院に入り直した…って、つまり日本で言うと
「東京工業大学から東京藝術大学に入り直した」ようなものだよな。。。

たしかに、これまでの芸風からも地頭のいい人だとは思っていました。
それは芸術家にありがちな「破天荒な天才肌」とはちょっと違った、正統的なエリートというか。。。

まあ、歌を聴けば彼がいかに知的な歌手なのかというのは自ずとわかりますけどねっ。

今更ながら彼が、どストレートに知的レベルが高い人だと思い知った気がします。プラス努力の人。
(どっちも凡人には無理レベル…モスクワ音楽院に留学した日本人はそこそこいるけど、バウマンに留学した日本人はそんなにいないのでは?!)

それから、いかにもロシア人らしい比喩だなあと思ったのは、ベルリンでの初期の頃のドン・ジョヴァンニを、「皇帝のための魚のスープを作る時には」の話にたとえていること・笑
(これはもう少し私のロシア語レベルが高かったら、間違いなく大笑いできる感じで訳すことができるのになあ…と、もどかしく感じた箇所でもあるのだけど!)

Don Giovanni @ Staatsoper Unter den Linden, Berlin,2002 with Rene Pape as title role and Alexander as Masetto

そういうわけで、分量や内容の濃さと言う点では、2月のフランス語でのインタビューの方が優っているのですが、
ロシア人がロシア語で語る内容を紐解く…という点では、圧倒的に面白かったし、ロシア語の勉強を再開していてほんとによかったと思っています。

インタビューは、歌だけではなく、彼の人となりを伝える貴重な資料なので、これからも精力的に(機械翻訳を使ったりしつつ^^;)紹介したいな、と考えています。

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