アレクサンダー・ヴィノグラドフさんはこんな歌手です

★今年のお節介企画のこちら↓も合わせてお読み頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

190308-14 カルメン@METライブビューイング
実演で観たものを映画館のスクリーンで観る・・なんとも感慨深いものがありました。 そして、改めて素晴らしい上演の…

明日(5月19日)〜25日(東劇のみ6月1日まで)まで、いよいよ4月14日にメトロポリタン歌劇場で4月に上演された『ルイザ・ミラー』のライブビューイングが始まります!
公演サマリーは↓

180329-0421 Luisa Miller @ Metropolitan Opera (Company Debut)

今やオペラ界のレジェンドと化しているプラシド・ドミンゴがバリトンロールのミラー父を演じる+ベチャワやヨンチェヴァ等、スター歌手の饗宴ということで、
今期のライブビューイング演目の中でもトップクラスの注目度だったんですが、

この公演に!
このファンサイトで取り上げている!!
アレクサンダー・ヴィノグラドフさんが!!!
主人公カップルの敵役・ヴァルター伯爵として!!!!
なんと、METのカンパニーデビューを飾ったと同時に、ライブビューイングデビューまで成し遂げたという快挙!!!!!

ああもう、こんな日が来るなんて(感涙)
長い間応援してきた甲斐があったというものです。

それでっ。お節介企画を考えました。

HDで初めて彼(の名前)をご覧に(お聴きに)なる方も多いと思われます。

「あの、舌をかみそうな、なっがい名前の歌手についてもっと知りたい」

など、彼に関心を持ってくださる方がいたら、参考にして頂けるといいなあ・・と思いつつ、書きました。

実は彼の情報、日本語で検索するとほぼ8割がた、私がなんらかの形で書いたものが引っかかると思います^^;
「ヴァラリンの主観バリバリで書かれたものじゃなくて、もっと冷静に書いてあるものも読みたい」

と思われる方のために、私の友人・バジリオさんの秀逸な記事をご紹介しておきます。おすすめ録音なども紹介して頂いて感謝・・・😊
ご一読をおすすめします。

Don Basilio, o il finto Signor オペラなひと♪千夜一夜 ~第百八夜/北方の若獅子~

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では私の直近の主観をバリバリ入れた^^;「ヴィノグラドフさんはこんな歌手です」はじめまーす!

◆名前の表記はその時その時で変わります^^;

何よりもまず、これをお伝えしておかないといけません!!
アルファベットではAlexander Vinogradov です。
「アレキサンダー・ヴィノグラードフ」「アレクサンダー・ヴィノグラードフ」「アレクサンドル・ヴィノグラドフ」「アレクサンダー・ヴィノグラドフ」「アレクサンデル・ヴィノグラドフ」…色んな表記がありますが、
原則的には、「アレクサンドル・ヴィノグラドーフ」という表記を、取っています。

ですが、来日+市販のCDやDVDもちょっとずつ出てきたり、来日等で日本語で彼の名前を目にする機会も、少しずつ増えてきましたので、あまり拘らずに、その時々の表記を取り混ぜてます。
ということで、今回、映像配給先の松竹さんの表記に倣い、「アレクサンダー・ヴィノグラドフ」と書いてます。

◆ 楽譜に忠実、役に対していつも真摯で、歌い崩すとかいうことは絶対にしない歌手です

正直言ってアクロバティックな演技力が卓越しているとかいうことはないんですが(演技自体は割とパターン化されてるし(⌒-⌒; ))
1976年生まれ、現在41才の現代っ子とはいえ、いい意味でクラシカルなオペラ歌手だと思っています。派手さもないしね。。。
声自体もすっごく綺麗だし、低音の鳴りも充実していますが、実は高音域のいぶし銀のような輝かしさが卓越している・・・と思っています。

バス歌手って、音域の狭い中で、もごもご歌っているようなイメージの人が多いんですが、
ヴィノグラドフは音域が広く、上から下まで充実した響きを聞かせてくれる、稀有なバス歌手・・・だと思ってます。

◆一番多く歌っているのは「カルメン」のエスカミーリョです

ちゃんと回数を数えてはいないんですが、本人も「もう100回以上歌ったなあ〜」と言ってる^^;エスカミーリョ。
日本でも2007年冬に新国立劇場で歌っています。


(2009年カラカスでのコンサート形式。指揮はドゥダメル)

歌い始めたのが2005年で、新国で歌ったプロダクションは2つ目でした。あの頃の彼のエスカミーリョはとにかく端正で爽やか。
「惚れた女には指一本触れないんだ・・」的ストイックさがあって、それが新鮮だったんです。

しかし10年以上も歌っていれば、年相応に貫禄もつき、青年期から壮年期に差し掛かり・・・男ざかり真っ最中な感じ・・とでも言えばいいかな。

しょっちゅう歌っている割にはあまり放送に乗る機会がないんですが、昨年秋のLAでの公演が久々にかかりました。

で、それを聴いて「・・もみあげが似合うエスカミ〜リョになってきたなあ」(←)と、随分とおっさんくさく(失礼^^;)貫禄がついたなあとしみじみ。
それはそれで、いいんだろうな・・
断片映像で演技を見ると、適度にユーモアもあって、いい味を出しているなと思います。

(バックに流れて来るのはトレアドールですけど、歌は彼じゃないです)

で!嬉しいことに、来シーズンはこの役で、METライブビューイングに再び参加します!!
映像で全部観られるのは、前出の2007年新国でのテレビ放送以来ですから、12年ぶり!!

おまけに共演はロベルト・アラーニャご夫妻(奥さんのクルザックはミカエラ)だなんて💕
来年1月〜2月(HD収録は2月2日なので、日本では3月下旬ごろの上映かな?)が本当に楽しみです。

◆ヴァルター伯爵は映像収録率75%です

今回歌った『ルイザ・ミラー』のヴァルター伯爵は、エスカミーリョとほぼ同時期(2006〜)から歌っています。
コンスタントに歌い続けている役の一つですが、なぜか映像収録率が異様に高く^^;
2006年フェニーチェ(CD,DVD有)2008年パリ(YTに上がってます)そして今回の2018年METと、10年のスパンがあるとはいえ、3つも映像収録してるのは今の所、この役だけです。
逆に映像収録しなかったのは、2016年ハンブルクでの公演のみ・・なので「映像収録率75%」なのです。

作品自体が他のヴェルディと比較すると少しマイナー寄りということや、意外と難しい役・・の割に、いわゆる「大物バス」があんまり手がけていないせいもあるのか、「これだ!」という歌唱に未だに出会ってないので、ヴィノグラドフの歌唱はそれなりにインパクトのあるものとして、今後もコンスタントに歌い続けて行くかもしれません(期待)

◆モーツァルトもちょいちょい歌ってます…が。

私が彼を初めて聞いたのは2004年12月のベルリンでの「魔笛」のザラストロですが、
フィガロは日本でも歌いましたし(2010年新国)

(2013年の公演用のクリップですが、使われている映像は2010年時のもの)

ドン・ジョヴァンニはかねてより「憧れの役」と言ってましたが、今年7月の(ロールデビューになるはずだった)藤原歌劇団の公演を降板。理由は藤原歌劇団がちゃんとアップして下さっています。
こちら→→→

来日の機会がなくなったのは残念ですが、歌手にとって声は大切な商売道具であると同時に、何者にも変えがたい宝物でもあるわけで。
こういう決断ができる歌手でもある…ということです。
これからモーツァルトは、ザラストロだけになるのかな^^;

◆ヴェルディ・バスとして

バス歌手なら誰しも一つの到達点だと目指しているのが、「ドン・カルロ」のフィリッポだと思いますが、ヴィノグラードフも同様に、この役を長いこと目指して頑張ってきました。
2015年にブエノス・アイレスのコロン劇場でロールデビュー、昨年冬には、今回もご一緒しているドミンゴがロドリーゴで^^;スペインのバレンシアで、2度目のフィリッポを歌いました。

まだ名人の域には達してないけど(笑)持ち前の丁寧さと、役に対する読み込みの深さは聞き取れるかな・・・と思います。

その他ヴァルター伯爵(ルイザ・ミラー)ザッカリア(ナブッコ)アッティラ、シルヴァ(エルナー二)スパラフチレ(リゴレット)ランフィス(アイーダ)バンコー(マクベス)フィエスコ(シモン・ボッカネグラ)など
大概の役は歌ってきたと思います。
このうち、私が実演で聴いたことがあるのはバンコーのみ。この役、彼のキャラクターにすごくよく合ってていいんですよ(#^^#)

◆実はフランスものが大好きです🇫🇷

一番良く歌ってるエスカミーリョはともかく(^ω^)フランスもののバスの役については
一時期「フランス語の発音に難点大あり」
と言われていた頃もあったんですが、本人は
「もっとフランスオペラのレパートリーを増やしたいと思ってます。フランスのロマン派レパートリーはバス歌手にとって多くの美しい旋律を与えてくれますし、その魅力は尋ねて尽きることがないからです」
と2年前のインタビューで語ってます。
グノーのメフィストや「ロメジュリ」のローラン神父はちょこちょこ歌ってますし、ユグノー教徒などにも関心を示しているみたい。

私が今、彼の持ち役の中で一番好きなのはグノーのメフィスト(2016年ドイツのエッセン2018年スペインのヘレスという小さな町で実演聴くことができたのは、何よりの私の幸せでもあり私の宝物です)ですけど、
放送にかかる機会がないのが悔しい…

◆コンサートピースのソリストとしても優秀です

彼を高く評価して下さっている方々がこぞって仰るのが
「端正で丁寧、楽譜に忠実な歌いまわし」
ということですが、これを客観的に「…だよね!」と思わせるのが、コンサートピースでの活躍。
第九は2014年に、東京でベジャール振り付けのバレエ第九(ズービン・メータ指揮イスラエルフィル)で映像も残してくれましたし、
ヴェルレク、モツレクのバスソリストとしてはもちろんのこと、お国もののショスタコーヴィチの歌付き交響曲(13番14番)は盟友ヴァシリー・ペトレンコとの録音がありますし、ラフマニノフの「鐘」もよく歌っています。

2017年2月、日本でもおなじみクリスティアン・アルミンク指揮でショスタコ13番(第二楽章丸ごとアップされてます)

 

2006年のヴェルレク、声が若い^^;

◆でもやっぱり「ロシアの漢」です🇷🇺

「ボリス」はいずれ歌う時が来る…とも言ってますし、実際「オネーギン」のグレーミン公爵(YTに上がってます)や
「イオランタ」のルネ王(CD有り)でも名唱を聞かせてますが、
前出のショスタコ(特に13番)やラフマニノフに関しては、昨今のあまたのロシア・東欧系のバス歌手さんたちの中でも頭一つ抜きん出ていると信じています。

今回のライブビューイングで彼に関心を持って頂いたら是非、ラフマニノフの珍しいオペラ二本立てに出演した時の映像を観て(聴いて)頂きたいです。

「アレコ」有名なアリアもありますが、1時間ちょっとで見終えるので、これはぜひ全部観て頂きたいです。

「フランチェスカ・ダ・リミニ」のマラテスタのアリア(こちらはちょっと変わった構成なので、まずアリアから。。。)

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ここまで目を通して下さって、ありがとうございます。
彼の「人となり」がよく伝わるインタビューも紹介しておきますね。昨年12月、バレンシアでの「ドン・カルロ」出演中に受けたものです。

インタビュー:2017年12月、バレンシアにて

…ざっとこういう感じかな。また思いついたら適時追記します(^ω^)
このサイト の中も色々、探検してみてくださいね(^^/

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