“Das Opernglas”1月号でインタビュー(本は無事に届きました🙌)を受けているアレクサンドル・ヴィノグラードフですが;
1月12日に行われたパリでのコンサートのパンフレットにも、短いインタビューが掲載されておりました。
有志の方が訳して下さいましたので、内容を紹介します。(ありがとうございました〜〜)
▼今回のコンサートは大半がフランス・オペラの有名アリアに費やされますが、このレパートリーに親しみは?
V:メフィストフェレスとエスカミーリョの両役は比較的頻繁に歌ってますし、
グノーの「ロメオとジュリエット」も色々な演出で歌っています。
フランス・オペラの持ち役をもっと増やしたいと思っています。
フランスのロマン派レパートリーはバス歌手にとって多くの美しい旋律を与えてくれますし、
その魅力は尋ねて尽きることがないからです。
▼それらのアリアを歌うときの準備法は?
V:まず譜面を勉強することから始めます。
その後音符の裏に隠れている音楽を理解することに努め、続いて技術的な準備を行った後、聴衆の皆さんの前で音楽に生命を与えるわけです。
こう口で言ってしまうと何とも簡単なことのように見えますけどね。
▼メフィストフェレスやエスカミーリョといったバス=バリトン歌手の象徴的レパートリーを歌っておられますが、彼らの人物像と繋がりを感じることは?
V:演じるためにその人物と自分が近いと感じる必要は私にはありません。
一方、その人物をあらかじめ非常に明確に思い描いておくことは重要です。
経験を重ねるうちに、登場人物との間に本当の人間とのような特別な関係を築くことができるようになりました。
実際私は登場人物を動機、気移り、欲望を備えた本物の人間として思い描くようにしています。
その人物を好きになる必要があるとは思いませんが、人物を知ることは絶対に必要です。
ちょっと不思議な感じのすることですが。
▼それらの作品についてパリ室内管に期待することは?
V:オケとの出会いを心待ちにしていますし、楽員たちと音楽の喜びを分かち合うことを楽しみにしています。
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・・・まー、けっこう偉そうなことを(笑)
彼のレパートリーを見ていると、「なんであの温厚で紳士的な性格の彼があの役を?」と時々不思議な気持ちになるものがいくつかあるんですけど^^;
つまり、こういうことなんですよね。これ、実は11年前の”Das Opernglas”でも似たようなことを言っていたんです。
歌手は、役の中に完全に自己投影してしまうタイプと
彼のように、役は役、自分は自分・・と切り離して考えられるタイプに分かれる気がします。
私が彼を高く評価しているのは、実はその辺が明確に感じられることも大きいのです。決して歌が情に溺れることがない。
彼が、いわゆる「独白」(「フランチェスカ〜」のマラテスタやフィリッポなど)を、飽きさせずに聴かせてくれるのは、こういう理由なのかな・・と思います。
そういうのがつまらない・・と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、クラシック音楽ですからね。技術をきっちり磨いた上で表現を練りこんで欲しいですもの。
なので、今回このように話してくれたのは、とても嬉しいです。応援し続ける甲斐がありますわ!(笑)
“Das Opernglas”のインタビューもあるし、インタビューのリストも作らなきゃ・・