あっ!と言う間に年の瀬・・
毎年恒例、アレクサンドル・ヴィノグラードフの一年をざっくり振り返っておきます。
昨年10月~今年9月の一年間のうちに、6つのロールデビューを果たしたヴィノグラードフ。とりわけ2月のラフマニノフのアレコ(タイトルロール)とフランチェスカ・ダ・リミニ(マラテスタ)のダブルビル@ナンシーと
9月のドン・カルロ(フィリッポ2世)@テアトロコロン(ブエノスアイレス)は、彼のキャリアに於いても一つの到達点だったのでは・・と思います。
彼はラフマニノフをとても愛しておりまして、その愛がふんだんに込められたラフマニノフの二つの作品での歌唱は、実際に聴けたことを本当に誇りに思える出来で、二つの役柄の演じ分け方も見事でした。
また、フィリッポ2世は、バス歌手なら誰しも指針とするべき大きな役柄の一つで、彼も御多分に漏れず、若い時からインタビューで「将来歌いたい役は?」と聞かれたら必ず筆頭に挙げていた役でした。
これは、ラジオ放送があるのはわかっていたんですけど、最近コロン劇場が映像配信(無料でどこからでも誰でも見られるという太っ腹サービス!)に力を入れ始めたことから、まさか、まさかの映像まで見られて。
極東のいちファンとしては感無量、おまけに放送を聴いて下さった方々からも口々に「初役とは思えない」「気品がある」と嬉しいほめ言葉もたくさんいただいて、涙、涙・・
本当はブエノスアイレスまで行って、ぜひ彼のロールデビューを見届けたい・・と思えど、諸事情で断念せざるを得なかった切なさは思いっきり吹っ飛ばせるぐらい、充分おつりのくる、忘れがたい公演となりました。
この2つの公演が個人的にはすごく印象に残っているんですが、びっくりぽん!だったのは、4月にボリショイ劇場での「フィガロの結婚」に急きょ参加したこと。
ボリショイ劇場はモスクワっ子の彼のデビュー劇場で、学生時代に3年間アンサンブルに所属していたこともあるんですが、活動の基盤をベルリンに移してからはほとんど出演しておらず、今回のフィガロは2008年の「カルメン」以来7年ぶりの里帰り公演でした。
ボリショイでの「フィガロ」の上演は20年ぶりだった(!)とのことで、非常に話題に上った公演でもあったらしいんですが、もともと予定に入ってなかった公演で、トリプルキャストの一人として呼ばれたみたい。
おまけに初日を歌うはずだった歌手さんが病気で急きょ彼がプレミエも歌い、翌日の公演も務め・・と、とても多忙で2日目の公演が終わったあとは文字通り「ぶっ倒れた」そうですけど^^;
嬉しかったんでしょうね。フィガロ歌ったのも、2010年の新国での公演以来でしたし。
この公演の直後の、5月のセントルイスでの「アイーダ」のランフィスも、放送ではすっごく印象的だったなあ。公演全体が熱気に満ちていて、どの歌手もとても情熱的で。「ドン・カルロ」の放送が始まる前までは、こればっかり聴いてた時期がありました(夏の間・笑)
ロンドン・ロイヤルオペラへの出演も今年は6月の終わり~7月と、10月の2度ありました。夏の公演はロッシーニの「ギヨーム・テル」のワルター。あまり大きな役ではなかったですし、演出で大変物議を醸した公演となり・・ロイヤルオペラのライブビューイングにも初めて足を運んだんですけど、正直なところ、もっと他の演目で見たかったな・・
10月はもう鉄板の(笑)カルメン・エスカミーリョ。今更もうええで・・;と思うぐらい、近年はほんと頻繁に歌っている役で、フィリッポ・デビューも立派に果たした今となってはそろそろ卒業してほしいとも思うんですが、こんな素敵な写真を見せられてしまうと、まだまだやめさせてもらえないかな・・とも思ったり♥
(友人たちからもこぞって言われましたわ!役得ね、ヴィノグラードフ!)
尚、このカルメン@ROHでの出演中に、BBC4でラフマニノフのドキュメンタリーを収録したそうですが、ここでヴィノグラードフがラフマニノフの歌曲「運命」を歌っているとのこと。放送はGMT1月1日・21:00~(日本時間1月2日・午前6時~)ですが、アーカイブもあるそうです。
そして今年の締めくくりは、あの!プラシド・ドミンゴ氏がタイトルロールを務めた「マクベス」のバンコー@バレンシア。
舞台写真が一枚だけしか出てこない・・という状態でしたけど、あったかいところでゆったり、いい仕事ができたみたいで何よりでした。
近年の彼は、オペラよりもコンサートの比重が多かったんですが、今年はがっつりオペラ歌手してましたね(笑)
私の実演鑑賞は結局、2月のナンシーだけで終わってしまいましたが、今年は放送も多くて(一番見たかったフィリッポは、映像配信もあったしね!”)あまりさみしくならずに済みました(笑)
時代に感謝です。
このファンサイトは、以前はOperabaseの彼のページのリンクにも貼っていただいてた時期もありますが、今は外れていますし、
彼のエージェントとも一切関わりないので、私の好き勝手にやらせて頂いてます。
ファンサイトは、本人のオフィシャルサイトと違って、作り手のカラー一つで雰囲気ががらっと変わるのが面白さだと思います。
なので、好き勝手に感想も書いたりしてます。
ファン同士の交流・・という点においては、私の性格上あまり積極的ではないのですが、必要な情報は惜しみなく提供したいと思っています。
その辺の境界線は、個人個人によって見解が異なると思いますが、歌手としての彼に関する情報(パフォーマンスや彼の演技歌唱に関して)については、惜しみなく情報提供していく所存です。
でも、守るべきところはしっかり守っていますので。それが歌手としての彼に対しての、私からの最大の敬意・・だと考えています。
2015年も、ヴィノグラードフを応援して頂いてありがとうございました。
新しい年も、彼にとって更なる飛躍の一年になるよう、微力ながらも極東の地から暑苦しく応援していく所存です(笑)
2016年もアレクサンドル・ヴィノグラードフとこちらのファンサイトを、どうぞよろしくお願いします:)))
読者の皆様も、どうぞ良い年をお迎えくださいませ。