あっという間に年の瀬。
毎年恒例、アレクサンドル・ヴィノグラードフの1年を振り返っておきます。
年明けはスペイン・ヘレスの「ファウスト」のメフィストからスタート。これはファウストを歌った地元出身のイスマエル・ジョルディ(日本では新国立劇場での「ルチア」でエドガルドを歌ったことがある)が「ファウスト」のロールデビューを地元で飾るにあたり、友人のヴィノグラードフにメフィスト役を個人的にお願いしたことから実現した公演だったと後から聞いて「え〜〜!そうだったの!」とびっくり。
(公演の一ヶ月ぐらい前にもバレンシアでのインタビューでそう話しています。残念ながら楽屋口でジョルディを見かけることはなかったので二人が実際に話しているところは見られなかったんですが、歌のスタイルがよく似てる・・仲良しなのがわかる気がしました・笑)
2年前のエッセンでのメフィストに、もうメロメロになった私。貴方のメフィストならどこまでも聴きに参ります・・・と誓いを立てた身ですから?!ええ、また行ってきましたわよっ。
スペイン自体は4回目ですが、遠いし聞いたこともない街で(すまん・・🙏実はフラメンコとシェリー酒で有名な街でございます)
渡航当日に大雪のために1日出発を遅らせるハプニングもあったけど、今年の遠征、これを選んで本当に良かった。
(今思い出してもこみあげるものが・・;)
そもそも劇場自体がフラメンコのための劇場で、音響なんて推して知るべし、オペラは年に2演目くらいしかやらない小さい劇場ですが(オケと合唱はマラガからの出張)
そういうのを街の皆さんがすごく楽しみになさっていて、ここでしか味わえない熱気をびしびし感じて・・
終演後の、手拍子が途中からフラメンコのリズムに変わるカテコ。あれはもう・・・あそこでしか味わえないでしょうね。
宿泊したホテルのオーナーは年配のドイツ人女性でオペラ好き。
私が「ファウスト」の為にわざわざ日本から来たことで、色々気を配ってくださいました。
(ヘレスでは2月にフラメンコフェスティバルが行われるのですが、その時期には日本からの宿泊客も増えるらしいですが、さすがに今回は私だけ^^;)
図らずもこの、オペラ辺境の地?!であろうヘレスの宿で、オペラ談義に花を咲かせることになるとは思いもよりませんでしたが、もちろん「ファウスト」も観に行って下さり、チェックアウトの朝
「貴女のfavarite singer、本当に素晴らしかったわ・・いい声だし舞台映えもするし」
と言って頂けたのも、いい思い出です。
ファウストお終い。脱力…劇場が寒かったのと2列目のつもりだったらピットの関係でまさかの1列目で、シェリー酒の酔いはすっかり覚めました( ̄ー ̄)
カテコちょいとね。上手く撮れてませんが。(タンタッタはこの前の方が綺麗に決まってたなあ) pic.twitter.com/XP7SgO1XrV— ヴァランシエンヌ (@valen_vino) January 28, 2018
2月はミュンヘンでの「カルメン」鉄板のエスカミーリョでしたが、実はひっそりと、劇場デビューでもありました。
共演者もガランチャやイーメルと、旬の歌手で固めていましたけど、長きにわたるロングランの通常公演では、歌手が入れ替わってもさほど話題にも上らず・・
そして今年一番の話題&彼のキャリア的に見ても重要だったと思われる、3月下旬のメトロポリタン歌劇場デビュー。
「ルイザ・ミラー」のヴァルター伯爵と、4月下旬〜5月上旬にかけて「ルチア」のライモンド。
どっちも微妙に地味な役ですし^^;
実はどっちも私はあんまり好きじゃない役で(ごめん)
せっかくのメトデビューも、始まる前はあんまりキャッキャウフフ❤️な気分にはなれなかったんですが・・
「ルイザ〜」はミラー父をドミンゴが歌ったこともあり、ラジオ放送が合計3回、ライブビューイングにもかかり、カテコも毎回YTに上がったり^^;
「行かなくてもお腹いっぱい、めいっぱい楽しめたよ・・😊」
というのが今の正直な気持ちです。
ライブビューイング(3回観に行った^^;)ではインタビューも受けて、地声もご披露。
「悪役二人(ウルムを歌ったベロセルスキーと一緒に受けたので)の地声、いい声だったな〜」というツイートもちょいちょい見かけて嬉しいびっくりでした。
悪役二人に好意的な感想も多かったしね!
でも、放送には一度しかかからなかった、若手中心のBキャストでのライモンドも印象的でした。個人的にはこっちも嬉しかったな。
この、メト出演期間中に、日本のファンにとっては残念なお知らせも。
7月に予定されていた藤原歌劇団での「ドン・ジョヴァンニ」のタイトルロールを降板。声の成熟が予想よりも早くやって来て、声域が合わなくなってしまったということですが、
彼の声明文を藤原側がきちんと公表して下さったおかげで余計な憶測を呼ぶこともなかったのは、彼の仕事に対する真摯な姿勢が伺えるエピソードにもなったかな・・とも思います。
アレクサンダー・ヴィノグラードフが藤原歌劇団のドン・ジョヴァンニを降板することになりました。残念だけど彼がいい加減な気持ちでこの答えを出したのではないこと、この声明文に目を通して頂ければ幸いです。 https://t.co/hzABQ8SqdD
— ヴァランシエンヌ (@valen_vino) April 9, 2018
その後、6月にはマルセイユでの「エルナーニ」
分厚い衣装にロン毛のカツラ・・で、あまりにも暑くて具合が悪くなりそうで^^;(ライトも当たるしね)
公演途中でカツラを外して続行。その後はカツラなしで通したそうです(笑)
夏はヴェローナでのカルメン(今年は新演出だった)と、スペインのパララーダ音楽祭でのヴェルレク。ヴェローナの方はトレアドールの断片がYTで、ヴェルレクはスペインRTVEのアーカイブで観られます。
秋からの新シーズンは、昨年に引き続きLAでのドン・カルロ。フィリッポをフルラネット御大と分け合うなんてっ(きゃー!)
放送にかかったのは、初日を受け持った御大の方だったのがちょっとね・・残念だったけど、2015年にブエノスアイレスで歌い始めて以来、これで3回目のフィリッポ。ちょいちょい歌う機会が増えてて私も嬉しい限りです。
(ヴェルディでも一度歌ったきり・・って役も少なからずあるから・・アッティラとかスパラフチレとか)
そしてダラスでのカルメンを経て、10月に亡くなったモンセラート・カバリエさんの追悼ヴェルレクを彼女の故郷・バルセロナで歌う機会もありました。
今年の締めはROHでのスタイリッシュな演出のカルメン。なかなか、歌いにくそうな^^;演出でさぞ大変だっただろうかと察します。。。
この公演中に、歌手デビュー20周年も迎えました。
「あっという間の20年だった・・今はこれからの20年を楽しみにしている」と言ってましたが、
現在42歳の彼が、人生のほぼ半分を既にプロの歌手として過ごしているのだ・・ということに、改めて敬意を表します。
私自身のプライベートな事情(仕事のことやら健康のことやら)もあって、なかなかマメに更新できないでいるんですが
ゆっくり公演サマリーもまた作っていこうと思ってます。
2019年は、年明けすぐにメトに再びお目見え。今度は十八番のエスカミーリョですから👍笑
またライブビューイングにもかかりますし(ラジオ放送はその時の一度だけ)
共演が!ロベルト・アラーニャ様ご夫妻ということで、明らかに前のシーズンよりもテンション上がってる私w
まーもう、120回以上歌っているエスカミーリョですが、
アラーニャ様の「華」にいい刺激を受けてくれるといいなあ〜〜と思ってます。ライブビューイング、すっごく楽しみです❤️
そして、来年・・とは言いませんが、いつか近い将来、来日してくれる日がまた来るのも楽しみにしています。