2012・4・19 手直しして再掲しました。随時追記しますね。
《死の歌と踊り》関連リンク
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・ムソルグスキー《死の歌と踊り》/ガリーナ・ヴィシネフスカヤ
2011年2月19日に行われた、ルネ・パーペのリサイタル@トッパンホール(感想記事にリンク)予習プロジェクトとして作った記事ですが、リンク切れのYT映像などもありましたので、手直しして再掲します。
1)ディミトリー・ホロストフスキー
プレイリストURL http://www.youtube.com/view_play_list?p=95560A220C7F52E4
ロンドンのだと、歌いクチが古い!!なんだかよくわからん…という方もいらっしゃるでしょうから(笑)
今日はまず、現代的オーソドックス歌唱のお手本・ディミトリー・ホロストフスキー氏のものを聴いてみましょう。
ホロストフスキー氏の大ファン・我が家のお客様でもある娑羅さんに協力をお願いして、ピア伴のものを探して頂きました。娑羅さん、ありがとう!!
この音源を聴いてびっくりしたのは「えっ、ピアノでもこんなに色合いがつけられるんだ」ということ。他のピア伴の音源だと、歌7割、ピアノ3割ぐらいの印象ですが、このクリップは、フィフティ・フィフティ(に、私には感じる)。
このぐらいピアノが前に出てくると、オケ版と殆ど遜色ないような印象すら受けます。
逆に、ここまでピアノの存在感が強くなると、並の表現力では歌の方が埋没しかねないと思いますが、そこはこの作品を十八番にしていらっしゃるホロ氏。言葉の一つ一つのニュアンスの付け方から、メロディラインの処理の仕方など、さすがに上手いです。ロシア語も美しく聞こえます。
2)ガリーナ・ヴィシネフスカヤ
プレイリストURL http://www.youtube.com/view_play_list?p=D995B3414099C453
私がこの作品のことを話題にするとき「ヴィシネフスカヤのが…」とよく言ってますが、そう、私のこの作品のデフォルトは、実は彼女のCD(EMIから出てます)なのです。だいぶ前に紹介記事を書いてます。こちら
主に低音男声に好まれるこの作品ですが、女性も歌います。その先駆けとなったのが、ヴィシネフスカヤなのですが、私が持っているのは、ショスタコーヴィチが彼女のために手がけた管弦楽バージョンです。
(オケ版は他にもいくつかありますが、現在よく演奏されるのは、ショスタコ版)
で、これを聴いてしまうと…どんな男性歌手でも、この表現には敵わないんじゃないかしら?と思うほど、強烈なのです。
(なので、実はヴィノグラドフのクリップを聞き始めの頃、ソプラノのキーからバスのキーになじみきるまでは、けっこう違和感があったのですよ^^;)
そんな彼女の歌うピア版がなんとYTに上がっていて、びっくり(@。@!
ピアノはご主人のロストロポーヴィチ氏。完全に伴奏に徹して奥様の歌をサポートしていらっしゃいます(笑)
最初からコレを聴くと、あまりにも味がこゆいですが(笑)
慣れてきたら、一度は是非聞いて頂きたい。
そこはかとなく憂いを携えた透明感のある声+凛とした存在感。男声でしか聴いたことのない方には、目(耳)から鱗、この作品に対するイメージが根底から覆るかもしれません。
ロシア語の「死」”смерть”は女性名詞です。
「死」がテーマのこの作品。女性が歌ってもおかしくない…というか、むしろこっちの方が理にかなっているのかな…という印象を受けます。
(この辺りの興味深い解説は、歌曲でおなじみ梅丘歌曲会館さまでも、どうぞ^^)
ちなみに「運命」”судьба”や、大地とか、川とか、山とか(笑) そーいう「懐深いイメージがするもの」って、大抵女性名詞なんですよね。母なるヴォルガ川…とかも言いますでしょ。
私はロシア語を勉強し始めて、この辺りの深みに、非常におもしろさを感じています。自分で訳せるようになったら、この辺のことを織り込みながら訳してみたいなぁ。(いつになることやら)
ただ、女性なら誰でもいい!というわけではなく^^;実は私の「ファースト・死の歌と踊り」は、ドイツの名メゾ・ブリギッテ・ファスベンダーの歌ったCDでした。これ、こちら⇒⇒⇒で聴けます。上から15番目のБригитта Фассбендер (меццо-сопрано)というのが彼女のこと^^;
(写真だけだとよくわからん^^;)
でもね…う~~ん、ちょっと違うんですよねぇ。何が違うのか、よく分からないんですが、久しぶりに聴いてみましたが、やっぱり何か違うなぁ、と思いました。
それで、えーと。。。
そう!ピア版でもヴィシネフスカヤの表現力は圧倒的で、それこそピア版だということを聴いているうちに、すっかり忘れてしまいました(^^;
こうしていくつか聴いていくと、もちろんオケ版の弦楽器の美しさとか、なんとも郷愁をそそられるような音色は、ピア版では味わいきれないんですが、歌唱という点に絞ると、オケ版だろうが、ピア版だろうが、最終的には歌手の表現力にかかっているのかな…と思いました。
ということで、オケ版もちょっとご紹介。
3)ジョン・レリエー
こちらから。(by InstantEncore)
これも娑羅さん絡みで教えて頂いたのですが、オケ版ですが、ショスタコーヴィチ版ではないですね。微妙に違うところがあります。何方かご存じの方がいらっしゃれば、ご教示下さいませ。
今年、メトの来日公演で初来日の予定のカナダ人のバス、ジョン・レリエーは、近年ロシアものに力を入れていて、こちらのコンサートは昨年の春にフィラデルフィアで行われたものだそうです。
実は最初に聴いた時は「んんー、声色が明るいし、やっぱりなんか違うかなぁ?」と思ったんですが、よくよく聴いてみると、こういうのもアリかな、と思います。
ちょっと力任せになるところもありますが、特に最後の「司令官」は、迫力があって、こういうのを聴くと「低音男声で聴く楽しみここにあり」という力強さを感じます。
4)アレクサンドル・ヴィノグラードフ
プレイリストURL(除:「子守歌」) http://www.youtube.com/view_play_list?p=68D111BBC30AA49F
えー、またぁ?もういいよ…とか言わないで(笑)
(そりゃ、ここは《Valenciennes Traeumereien》、ここの女主人はヴィノオタですから(笑)特にロシアもの関連には、もれなく彼がくっついてきますよぉ[E:smile])
そろそろ、真面目に分析して聞こうかと思っているんですってば。
世代的にも近いレリエーと比べると、面白いですよ。
今回紹介した方々の中では、一番声が暗いのよ(笑)
この作品、ショスタコーヴィチが1962年に管弦楽バージョンを編曲し、その後彼が、この作品の、ある意味「続編」という形で、交響曲第14番「死者の歌」を作曲しています。
今回上げた方々の中で、両方歌っているのは、ソプラノのヴィシネフスカヤ(これまた名演!)と、ヴィノグラードフだけですが、そのことは曲への解釈に対して、何らかの相乗効果があるのかもしれません。
思えばこの2年間で、ショスタコの13番(バビ・ヤール)、14番(昨年春、トリノでの演奏が放送されました)に加えてこの作品(2006年に、リヨンで一度歌ったことがあるんですが)も歌ってくれたのねぇ。
しかも(この作品の「子守歌」以外は)私個人は、ほぼ全部聴けているんですから…すごい幸せかも(笑)
彼の歌っている中で、一番回数多く聴いているのはやっぱり《セレナーデ》なんですが、《司令官》は、ちょっと力で押し切っているような感じもなくはないけど、ヴィシネフスカヤのCDでは少しヒステリックに感じていた部分が、これを聴いて曲の面白さがわかったような気がしました。
色々聴き比べて行くと、彼のロシア語は決して鋭いわけではないんですよね^^;
でも彼の、どこかおっとりしたところが残っているような、喋るようなロシア語の響きが好きなの(笑)
・《死の歌と踊り》音源色々/ロシアのサイトですが、たくさん揃ってます。有名どころではイリーナ・アルピポーワ(Ирина Архипова)とか、エフゲニー・ネステレンコ(Евгений Нестеренко)(前述した)ブリギッテ・ファスベンダー(Бригитта Фассбендер)、ホロストフスキー(Дмитрий Хворостовский)、ボリス・クリストフ (Борис Христовс)なども聴けます。
しかーし!ランダムに聴いていたら!!
Лина Мкртчян (контральто)Lina Mkrtchyan
(リーナ・ムクリチャン?)というメゾの方に、大ハマり。
きゃー、こんなに色っぽい《死の歌と踊り》は初めてだわ。ヴィシネフスカヤの怜悧な表現は別格だけど、こんなに情感たっぷりに歌われると、やっはり死神=死は女性なのよぉ~~~~~!と、思います。
最初の3曲では、甘くエロティックな声色なのに《司令官》では、メゾの本領発揮?低音もツヤツヤして、これまた色っぽい。
もし、私が歌手だったらこう歌うかもしれません(笑)
ナクソスからグリンカ歌曲集も出てるのか~~! 暫くはまりそ~~~~~
というわけで、