9月3日、6日に予定されていたN響【カルメン】(コンサート形式・主催はBunkamura)が、新型コロナウイルス感染症の影響により、5月25日付で中止となりました。
今回の件、
なぜまだ公演まで3ヶ月もあるのに、早々とキャンセルを決めたのか?
疑問があります。
現在、外国人の入国制限が続く中、外国人ソリストと指揮者(パーヴォ ・ヤルヴィ)を呼ぶのも、現状では難しい状況とは思われます。
また現在欧米(主にドイツとアメリカ)では、合唱、オーケストラコンサート等において様々な実験が行われており
中には「オペラを再開できるまでには、ワクチンまたはそれに類する薬の開発を待つか、一年半〜二年くらいくらいの時間が必要」との意見もあり、合唱がそう言う状況ならば、そこにソリストが加わるオペラはもっとかかるのかな・・と、だんだん後ろ向きの気持ちになっていました。
一方で8月にザルツブルグ音楽祭(プログラムの一部改定)、9月にはスカラ座で第九とヴェルレクを一度にやってしまおう。。。などという企画も出てきてますし、EUでは夏のバカンスに向けて、徐々に国境も解放、すぐに国際線を…というところまでには至らないかもしれないけど、9月までにはもっと状況が改善されているかも・・という思いも芽生えてきたところでした。
日本でも緊急事態宣言が解除され、徐々に移動制限も緩和の方向に向いてますし(8月1日には全面解禁)
このままなら、ビジネスで来日する外国人から徐々に入国制限もとけてくるかも・・と、希望を持っていました。
そういう、改善の方向が見られる中での、早々と公演キャンセルの報せ。
え?まだ3ヶ月あるんだけど?
公演の開催に向けて、何か努力した?
先日発表された、新しい生活様式に則った劇場ガイドラインにおいては、舞台上の演者に対しても出来る限りのマスク着用を求める、2mの感覚を開けて…等、常識的に考えたら、公演の実現は不可能と思われる取り決めばかりが書かれています。
(5月25日付の改訂版では、多少改善されてます)
でも、まだ公演まで3ヶ月残されています。
この間に、ビジネスビザだったら外国人の入国は認められる等の措置が取られるかもしれません。
今回の公演は演奏会形式です。そして、主要ソリストと指揮者だけが海外在住者。
どうしても外国人を呼べないのでしたら、キャストを日本在住者に交代させて公演を行うとか
(その選択は私には残念な結果になることを意味するけども、とりあえず公演を開催する。。。ということに重きをおくならば、選択肢として十分あり得る)
オーケストラの編成を小さくして、等、いくらでも公演を実行する、考える余地も時間もまだあると思います。
そして、多少なりともガイドラインだって、常識的なものに緩和されているのに。
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そして何より驚いたこと。
キャンセルの知らせを受け、1日明けてから彼に「公演がキャンセルになって残念だわ」と伝えたところ、
「知らなかった、プロモーターからも公演がキャンセルになったという話は聞いていない」と。
目を疑いました。自分の読解力が間違ってる?いえ、何度読み返してもそう書いてある。
当の本人に公演のキャンセルを知らせていない。。。って。
舞台に立つ人の了承も得ないまま、公演がキャンセルになっていたってこと?
なにそれ?
なぜ、舞台に立つ張本人よりも先に、いち聴衆の私から、本人にキャンセルを知らせるような事態になってるの?
契約違反に当たりませんか?
彼らにきちんと納得してもらえるように説明できますか?
こういう事態になってしまい、申し訳ない・・と、書面一枚で済むことですか?
彼は1月末のバイエルンでの「カルメン」(奇しくも今回一緒に来日するはずだったヴァルトゥイ・アブラハミヤンとゴルダ・シュルツとの共演だった)を最後に、今シーズンの予定は全てキャンセルになりました。
日々自宅で練習は続けているものの、先が見えない状況で続けるのは容易なことではない…と、言っています。
(自宅ライブなどを配信するようなタイプの人ではないので)
そんな中で
「隔離生活後、最初の舞台は日本かな・・」って、
昨年の松本に引き続き、今年も日本に来るのを本当に楽しみにしていて、日本で最上のパフォーマンスを提示しようと、先が見えない状況で日々努力していたんです。
キャンセルのニュースを知って、最初は悲しくて泣いてた。
色々考えていたら、悔し涙に変わっていた。
そして今、怒りで私の頭の中はいっぱいです。
(1月のバイエルンでの公演終了後に収録された、出演者たちからのメッセージ)
公演のチラシ、特設サイトには、散々、歯の浮くような文言でスター扱いして持ち上げておいて
面倒な状況になったら、説明もなしに切り捨てるんですか。
主催者のBunkamuraのサイトを何度見ても、英語のページが見つからない。日本語の読めないソリストに読まれないようにするためですか。
(N響サイトの英語版コンサートカレンダーにかろうじて出ているだけ。ニュースとしてのトピックは見当たりません)
こういう仕事の進め方では、通常通り公演ができるようになっても、信用を失って外国からソリストを呼べないんじゃないですか。
日本式の「残念だけど、今は仕方ないね」では済まされないでしょう。
1950年代のイタリア歌劇団の頃から、多くの外国人が遠い日本へやってきて、演奏してくれました。
日本の招聘元の、細々とした気配りに感激した演奏家も多いと聞きます。
外国人の演奏家にとって、日本での仕事はとても快適で気持ちがいい・・と、好評だったのではないですか?
そういう、これまで培ってきた日本のやり方を、信用を壊しかねないやり方ではないですか?
今回、主要キャスト以外は日本の演奏家が出るとのことで、出演者の方々が今回の報せに呼応してツイッターで「残念です」「今は仕方がない」と書いていらっしゃいますが、彼らがどの段階でキャンセルを知ったのか?正式な通達があったのか知るよしはありませんが
何れにしても、外国人ソリストは蚊帳の外だったってことですね。
主催者のBunkamuraへは、サイトを通じて抗議文をお送りしました。(N響サイトには残念ながら、お客様の声を送るフォームも、メールアドレスも見つかりませんでした)
1ソリストのストーカーのようなファンの聴衆が、ピーピー言ったところで状況が変わるとは思っていませんが、小石だけでも投げておきたかった。何もしないではいられなかった。
彼を始め、多くの外国人ソリストに、いつかまた日本で気持ちよく仕事をしてもらいたい。その一心でこのトピックを書いています。
そして彼を始め、他の外国人キャストに、なぜ今回キャンセルせざるを得ない状況になったのか?
公式発表よりもソリストへの通達が遅れたことに対して、論理的な説明をしてあげて欲しいです。
なお、これはあくまでも私個人の見解であり、ヴィノグラドフ氏に頼まれて書いたのではないことを最後に強く明記しておきます。