101228 魔笛×2 @ベルリン国立歌劇場(シラー劇場) ザラストロ編

(全体編はこちら

それはそれは、美しいザラストロ。

(今回、いつも以上に激甘・砂糖過多[E:cake]・胸焼け必至ですので「続きを読む」をクリックなさる方、覚悟の上クリックを[E:smile] ヴァラリン側での責任は一切持ちませんよ?)

あんまりこういう褒め方はしたくないのですが、とにかく彼のザラストロは、美しい。
6年前に初めて彼を観た時のことを、私はこんな風に書いてます。

「どこからともなく声が聴こえてきます。一声聴いて、ものすご~~~く美声。この時点で『あれ?!ルネ・パーペじゃないの??』(←上演前にキャストを確認してなかったので、パーペが歌うものだと・・^^;)と一瞬混乱したのち、左側のバルコニー席から声の主がすぅっと現れたのですが

め、めちゃくちゃ素敵・・[E:heart]

もう目も耳も釘付け状態になりました(#^.^#)

まるでギリシャ彫刻みたい!彫の深い横顔で、柔らかな明るい美声で、しかも低音が充実
してて・・その上若いっ^^
誰?!このイケメン・ザラストロはっ?!と休憩に入ったらすぐにお名前を確認。」

(この文章に校正をかけるなら、もちろん「柔らかな明るい美声」の部分でしょうけど(笑)
その時には、そう思ったんです(^^;)

バス歌手というのは往々にして、威圧的であったり、コワモテであったり(笑)体格も良かったり(良すぎ?)
或いは微妙に野卑な感じもあったり…
それに大抵、ザラストロって、年配の歌手だったりするわけです。

そんなイメージを思いっきり覆したのが、この時(名前も)初めて観聴きしたアレクサンダー・ヴィノグラードフ。
「なんなの、この美しい、エレガントな若いバス歌手。しかも歌も上手いし」…と。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

…あれから6年。
この間、ほんっとに色々ありました。
時にラブリーに、時にいじけつつ(笑)
泣いたり怒ったり(笑)
唖然とするほどの熱さで、周囲をぎょっとさせたり(笑)

おそらく、この人のファンの中で、こんなにしょっちゅう激しく感情をアップダウンさせているのは、世界中を探しても、ごく僅か(どころか、下手したら私だけ?)しかいないんじゃないかと思いますが
(もっと穏やかに聴いているファンの方が多いと思う^^;)
この、自らのクレイジーさを自覚しながらも、私はあの声から離れられない。

一年に一度、この声が聴きたい、この人のあの役が観たい、あの歌を歌う彼が聴きたい…
と願いながら(そしてその願いを叶えながら)この6年間、突っ走ってきたような気がします。

一つの音源を繰り返し何度も、浴びるほど聴いていた頃。
劇場の配役表の名前を見つけるだけで、ドキドキワクワク、アドレナリンが急上昇した頃。
そんな頃に比べると、今は随分、ふてぶてしくなってしまって。

この辺りで一度、原点に立ち返る作業をしてみたくなった…今回の「メモリアル魔笛」に足を運んだのはそういう理由と、もう一つ
「緻密なアンサンブルの中で、彼を聴きたい」
と思ったことでした。
新国立劇場の「フィガロの結婚」では、その部分がどうしても補いきれなかったから。

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さて、ちゃんと2公演とも「彼の横顔が、ばっちり見える位置」のチケットを買って
(シラー劇場でも、おおむね変わりなし。左側の1.Rangバルコニー端からザラストロが
出てきます^^)
双眼鏡を手に、スタンバる私。
昼公演は同じ階だったので、より近く見えたし、夜公演は下から見上げる形でしたけど、
ふふふ。

このザラストロのメイク、本当に、彼の美点をより美しく見せるメイクだと、つくづく思いました。6年前にも、そのマジックに引っかかったんだわ、私(^^;

写真も映像もなく、私の貧弱な文章力でどう書いたら、この良さが伝わるのか、悩みに悩んだ挙げ句

「とにかく、ため息が出るほど美しい」

としか、言いようがないのが、本当にもどかしい。

そして彼のザラストロは、歌い口も振る舞いも優雅でエレガント。せわしなさとか、ガツ
ガツしたところは皆無。
まさにファンタジーの世界の「太陽の環を持つに相応しい、夢の国の輝く美しい若き王様」です。
ファンタジックで美しい絵画的な、このエファーディングの演出には、本当によく合ったザラストロだと思います。

この演出では、この役では当代随一との呼び声も高い、ルネ・パーペもよく歌っていますが
(4月の再演時には、1日だけパーペが歌う予定)

…ごめんね。あまたのパーペファンの方。
石投げられてもいいから、言わせて下さいね[E:confident]

「あまたのパーぺファンには申し訳ないけど(笑)ヴィノグラドフは世界一美しい、私の永遠のザラストロなのよ[E:confident]

歌は、もちろん6年前よりもうんと声が深くなりましたし、最低音もずーん、と、しっかり響いてました。
近年の彼は、(全ての役柄に於いて)以前よりも、ちょっぴり勇ましげな歌い方を好んでいるようで(笑)
今回、可笑しかったのが、最初のパミーナとのやりとり場面で

『高慢な女だ!』(ein stolzes Weib!)

と歌うところがありますが(^^;、ここのところを、
「ちっ、全くあの女…」
と、舌打ちするくらいな、微妙な間を持たせて、いかにも忌々しげに歌っていたところ
[E:coldsweats01]
これは、昼も夜もホントに可笑しくって(笑)
姿の美しさと佇まいに目がハート[E:lovely]になっていたにも関わらず、クスクス笑いをこらえるのが大変でした。

あとは…ドイツ語は格段に上手くなったと思います。初めて聴いたときは、微妙にたどたどしさがあって、声の荘重さとのギャップがまた、なんとも言えないこそばゆさを醸し出していたのですが、さすがにね。
なので、台詞もぱしっと、滑舌良く聴き取りやすくて、小気味よさがありました。

で、緻密なアンサンブルの中で、彼を聴きたい…という欲求ですが、これはもちろん、叶いました。
ザラストロ自体は、歌うところもあまり多くなく
(だから1日2公演歌っても、本人的には大丈夫だったとのこと)
アンサンブルを積極的に引っ張ると言うよりも、重心を低く支えるという感じの絡み方ですが、こういうのは、お手の物。
ドキドキヒヤヒヤ、落ち着かないわ…という心配もなく、安心して聴いていられました。

ベルリンはもう、彼の第二の故郷と言っても過言ではないでしょうから、ここでのお客さんからの強力な支持もありますし、本人もリラックスして歌っているのが、よく伝わってきました。
新国を始め、色んな場所で歌うことは、本人も望んでいることだし、それはもちろん嬉しいことだけど、この地で歌う彼を聴くのは、私にとっても極上の喜び。
もしも、再び彼がベルリンで「フィガロ」を歌うことがあれば、私、今度こそ、万難を排して聴きに行く、と決めています。

私にも、彼以外に好きな歌手はたくさんいます。お友達が応援なさっている歌手さんたちにもそれぞれ注目してますし、
今回見てきて、プッシュ度を高めているハンノ・ミュラー=ブラッハマンをはじめ、初めて聴いたアンドレアス・バウアー、今回聴くチャンスがなかったローマン・トレーケル(それから忘れちゃいけない、御大ルネ・パーペも^^;)好きだけど、

それはlikeの好きであって、
special love , adoreには、決してなり得ない。
これは、アレクサンドル・ヴィノグラドフの為だけに私が使う言葉。

そのことも、しっかり自分の中に刻めた観劇でした。

…そして、7年目(!)が始まって、早一ヶ月。
彼はちゃくちゃくと一仕事終えて(@トリエステの「二人のフォスカリ」)
次の公演・2月下旬~3月上旬の@パレルモの「ジョコンダ」の準備中。

私は…やーっとこのレポを書き終えて、すっきり…できる…かな?^^;
(ファンサイトのアップデートも、最近滞りがちですが…が、がんばります…ロシア語も(笑))

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

2010.12.28 15:00 Uhr / 19:00 Uhr @ Staatsoper im Schiller Theater, Berlin
Die Zauberflote
Oper von Wolfgang Amadeus Mozart

Musikalische Leitung Julien Salemkour
Inszenierung August Everding
Buhnenbild nach Schinkel Fred Berndt
Kostume Dorothee Uhrmacher
Chore Eberhard Friedrich

Sarastro : Alexander Vinogradov[E:heart]
Tamino : Stephan Rugamer / Daniel Behle
Sprecher : Arttu Kataja
1. Priester : Christian Schleicher
2. Priester : Bernd Zettisch
Konigin der Nacht : Ana Durlovski
Pamina : Adriane Queiroz / Lydia Teuscher
1. Dame : Evelin Novak
2. Dame : Katharina Kammerloher
3. Dame : Constance Heller
Papageno : Klaus Hager / Hanno Muller-Brachmann
Papagena : Rinnat Moriah
Monostatos : Abdellah Lasri
1. Geharnischter : Paul O’Neill
2. Geharnischter : Rosen Krastev
Drei Knaben Aurelius Sangerknaben, Calw

Staatskapelle Berlin
Staatsopernchor

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