ダンシング・ベートーヴェン

2014年11月に東京で行われた「ベジャール第九」のドキュメンタリー映画。
この時の歌のバスソリストがアレクサンダー・ヴィノグラードフだったことは、このサイトを時々覗いて下さっている方はご存知かと思います。

141108-09 Beethoven’s 9th Symphony @ NHK hall, Tokyo

「第九は歌のソリストだって重要なのよ」
公演当時から、バレエに比重のかかった報道、後にTV放送された時も歌のソリストはアップすらなく、市販されたDVD/ブルーレイでやっと歌う時に一瞬大写しになる程度・・の扱いに、どうしても複雑な思いを抱いていたので
昨年末に封切られた時に、大阪まで見に行こうかどうしようか、迷った末「めんどくさいし・・」でスルー。

実は今年2月に、地元の映画館でも上映していたのですが(ほぼ毎日映画館の前を通っていたにも関わらず^^;)
上映されていたことにすら、気が付いてませんでした。
「京都市内では確か、遅れての上映だったな・・」と、うっすら頭の片隅には記憶してましたが、それがいつなのかも調べず仕舞い。

そんな私に、京都市内在住の友人が「まだやってるよ」と教えてくれました。
「(彼が)映ってたら見に行くわ」
と答えたところ
「姿は遠目だけど、歌はちょこちょこ流れるよ」
との言葉。

う〜〜ん、だったら行ってみようか・・と思い立って、あと2日で上演終了の京都シネマさんまで行ってきました。

京都シネマ

以下、上演終了直後のツイートから

    • ダンシング・ベートーベン観てきました。改めてこんな凄いプロジェクトにバスソリストとして参加してくれたヴィノグラードフに感謝…そうでなければ、3回全てコンプどころかスルーしてた可能性大なので。 pic.twitter.com/wjA8U8afoN posted at 16:09:32
    • 事前に友達が教えてくれたように、バレエ団に密着取材だし、彼が大写しで映ることもないんだけど、バレエ団のソリスト、オスカー・シャコンにフォーカスされた部分が多かった故、歌声はけっこう聴けたし、やっぱ第九のソロとしては、バスが美味しいとこ持って行ってるわね、と実感… posted at 16:12:47

    • ジル・ロマンが「音楽よりも歌声に身を浸して踊ることは何よりの喜び、多分オスカーも…」って語った後で、実演の映像が入って彼の歌声に乗って踊るシャコンの姿が映った時は涙ブワッってなったわ… posted at 16:21:43
    • あの時「第九は歌のソロだって大事なのに(取ってつけた感の)バレエばっかり取り上げて」とヒネてて、バレエはちゃんと観てなかったんだけど、今思えばなんて子供じみた考えだったのかと猛省…😢 posted at 16:39:21
    • あんなに沢山の方々が色んな想いをかけて関わって長い時間をかけて準備していたのに3回の公演を土日2日間でやった(日曜日はダブルビル)…って、なんか勿体ないなあ。せめて1日おきとかのスパンで一週間くらいの期間かけてやって欲しかったな… posted at 16:47:39
    • まあでも、彼はこれからも第九を歌う機会はあると思うけど、あんな壮大な企画、終わって3年半経ってもまだこうやって反芻できる機会がある公演なんてそうそうないだろうからなぁ。出てくれて本当に感謝。歌のソリストはオーディションでメータが選んだらしいけど、彼を選んでくれたメータにも大感謝🙏 posted at 16:51:59
    • 7月にブルーレイも出るし、わざわざ観に行かなくても…(2月に地元でやってたのに全く気がついてなかったし💦)と思ったけど、ギリギリ京都でやってくれてて良かった。教えてくれたお友達、ありがとうね😊 posted at 17:00:14

・・いやほんと、見に行ってよかったです。
この映画を見た人の中で、実際にこの公演をご覧になった方は、そうはいないはず。
帰宅後、ちょっとネットで探って見たところ、映像が発売されていること、むろんTV放送されたことご存知ない方が殆どなんですよね・・

それを思うと、3回全てコンプリートした私は、幸せ・・なんですよね。
バレエにもともと疎いこと、もっと歌のソリストにも焦点を当てて欲しい・・が先に立ってしまい、あんなすごい思いの詰まったバレエを真面目に見ようとしなかった、自分の考えの浅はかさが嫌になりました(猛省中・・)

確かに、この映画でも歌のソリストには全く焦点が当たっておらず、そのこと自体はちょっと不満でもありますけど
ダンサー達の努力、葛藤、挫折、チャンスをつかむこと、キャリアの絶頂期を迎える中での、人生の重要な転換期(妊娠、出産、父になる、母になる・・etc.)を迎えること・・
これは、歌手であれ、ダンサーであれ、そういう生業の同じ芸術家、舞台人を愛する者として、心を揺さぶられました。

実際に舞台を見た時に、バレエは殆ど見ていなかった(目に入ってなかった)とはいえ、そんな状態でもぐぐっと惹かれたオスカー・シャコン。
第4楽章で、バスソリストの声と対になって踊った方でもあります。
彼にフォーカスしていた部分が多かったゆえ、必然的にバスの歌が多く流れた・・という美味しい思いもできましたし(笑)
ツイートにも書きましたけど

「歌声に身を浸して踊ることは何よりの喜び・・多分オスカーも・・」
と、ジル・ロマンが語ったあとで、実演の映像が入り、彼の歌声に乗って踊るシャコンの姿が映った時は、涙が溢れてきました。
「そんな風に思って、踊ってくれたんだ・・」と。
贔屓目とは承知していますが、踊りと歌が一番ピタっと来ていたのは、ヴィノグラードフとシャコンの組み合わせだったと感じてた私の直感は、的外れではなかったということです。

あの声を愛してやまない者にとって、これ以上の賛美はありません。
改めて、この素晴らしい企画に参加してくれたヴィノグラードフには大感謝、そしてオーディションで彼を選んで下さったメータにも大、大感謝です。

この映画、7月にはディスクも発売されます(即、予約しました^^;)
2014年に実演をご覧になったけど、映画館ではご覧になれなかった・・という方にはぜひディスクをお手にとってご覧頂ければ
あの時の感動が、再び蘇ると思います。

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