120421 セビリアの理髪師@サンディエゴオペラ 放送感想メモ(追記あり)

★4月26日:San Diego Opera Highlight:The Barber of Seville がアップされました。
30分弱のドキュメンタリーです。各ソリストのショートインタビュー&稽古の様子、それぞれの舞台上での見せ場の(ゲネプロでの)映像です。ヴィノグラードフ@バジーリオの出番は、19:15~22:15辺り。(Twitterでは20分すぎ辺りとテキトーなことを流しちゃいましたが(^_^;))

「中傷はそよ風のように」と、2幕の「ぼ~なせ~ら!」の様子を見ることができます。

先日の公開セッションではマイクが遠くて(というか、他のソリストさんたちみたいに、ぐいっとマイクを自分の手元に引き寄せて喋らないから~~--;)微妙に声が小さめで、ボソボソ喋ってるみたいに聞こえましたが、今度はちゃんと集音マイクを胸につけてもらっているので、もう少しちゃんと^^;聞こえます。
素の彼が喋っている表情にも注目してみて下さいね。こういう話をする時は、ホントにうっれしそ~~~に、話すんですヨ。

★4月23日:公演のハイライト映像がアップされました。

絵に描いたような、超オーソドックスな舞台。でもとっても楽しそう^^

ツィッターでも簡単にメモしておいたのですが、ほんっと、放送だけでも楽しかった~~~~~!!!!!(^o^)!!!!!

・このオペラにあまり馴染みがないこと
・序曲からノリノリ、お客さんの笑い声が入ったり、舞台上の音が入っていたりと、すっごく臨場感溢れる中継放送だった
・若い歌手中心だけど、脇にベテラン歌手が入って、ぐいぐい引っ張る

こんなことが幸いして、飽きずに最後まで、リブレットを片手に大笑いしながら楽しく聴き通せました(^^)v

そう、こんなことでもなければこの作品をリブレットと突き合わせて、きちんと話の流れを追いつつ聴くなんてこと、一生なかったと思うので(^_^;)
でも私は、この方法をやるのとやらないのでは、オペラを楽しめるかどうかが大きく変わってくるんだわ…というのを、改めて実感したのでした。

尤も、いくらこの作品にあまり馴染みがないとはいえ(偏りがあるけど)オペラを聴き始めて10年選手にもなれば、偶然TVでやっているのを、何気なく見たことはあったり、オペラを聴き始めの頃に面白がって買ってきたCDを聴いたことは、あるのです。

ロッシーニって、専門の歌手が歌わないと面白くない、と言われることも多いし、ロッシーニスタイルの歌唱技術がどうのこうのと言われるのもなんだかなぁ。。。な感じで、面白いと言われてはいるんだけど
(彼にも「とっても楽しいんだよ!」と何度言われたことか(^_^;))
私にとってはちょっと敷居が高くて「目の上のたんこぶ」的な存在だったのです。

他方、アンサンブルオペラだから、いいものを聴けば楽しいんだろう、という思いも持ち合わせていたんです。
今回の予習で思いだしたように聴いていた古いエレーデ盤も、見事なアンサンブルだと思いつつ、でもこれはロッシーニスタイルの本流ではなく、これは大歌手たちの技あってのものなのだろう、と思っていましたし。

そんなわけで私はロッシーニ歌唱技術とか、専門用語には本当に無知なんで、様式感とかもまったく分からないんですが、そのお陰で「無の状態で」楽しめた気がします。

でも今回の公演は、歌手たちはそれぞれ、色んな作品も歌っている若手歌手さんたちが中心、必ずしも「ロッシーニ専門の」歌手たちでもないし、ネームバリューもそんなに高い人たちばかりじゃないし、小粒感は否めない感じかな…って、思ってたけど、本当に楽しかった。
絵のない実況放送で、こんなに心から「楽しい!」と思えたのは、初めてかもしれません。まあ、そういう作品なんですけど、ネ。

どの歌手さんたちもそれぞれ、素敵でしたけど、簡単に感想を。

・フィガロ:ルーカス・ミーチェム(Lucas Meachem)
直近での公演は、ロンドンでの【フィガロの結婚】の伯爵(S.キーンリサイドが降板したための代役)だったのかな? 
日本人のブロガーさんで鑑賞した方もいらっしゃるのですが、読ませて頂いた印象からすると、演技力があんまり(^_^;) な感じだったみたいですが、公開セッションでのお喋りの仕方とか、例のアリアではかなり、ハイテンションフィガロだと思いました。
でもバルトロが出てきたら、そのハイテンションの彼もまけそ・・・(^_^;)でしたけど(笑)
彼が舞台に出ているとお客さんはゲラゲラ笑っているし、今回のコメディセンスはなかなかいい感じだったのでは?と思いました。声的にも、私は好きなタイプでしたし、またヴィノグラードフと共演の機会があれば聴いてみたいな。

・アルマヴィーヴァ伯爵:ジョン・オズボーン(John Osborn)
ちょっと危なっかしいところもあったけど、二幕の音楽教師に変装するところでは、変な裏声(^_^;)も駆使したり、最後に聴き馴染みのない長いアリアがあったので、いわゆる「大アリア」にも果敢に挑戦していた(と思う(^_^;)すみません、無知なもんで)し、甘い声で高音もキレイ。周囲との調和もよく取れていたと思います。

・ロジーナ:シルヴィア・トゥロ・サンタフェ(Silvia Tro Santafé)
メゾらしい太めの声で、かなり気の強そうな(笑)ロジーナ。
でもロジーナのアリア(カヴァティーナと言うのね、正確には)って、日本語の訳詞を追っていると、ある意味とっても高慢ちきで、小生意気な娘とも取れるから、このぐらい強気な方がいいのでしょう(笑)

・バルトロ:カルロス・シャッソーン( Carlos Chausson)
公開セッションでもハジケていた(笑)カルロスさんは、んも~、サイコー!!に可笑しかった(^o^)
存在感が凄いの。今回ヴィノグラードフと共演するまで、お名前は全く存じ上げなかったんですが、名脇役ですね。こういう歌手の方が舞台の質を高めているんだな~と、聴いてて本当に嬉しくなりました。

・バジーリオ:アレクサンドル・ヴィノグラードフ(Alexander Vinogradov)
え?(笑)
うん、まあ、頑張っていたんじゃないの(笑)
ほら、靴下に穴まであけて( ̄▽ ̄)

まあ、ベルリンでは何度も歌っている役で~~~
昨年10月にバレンボイム先生のタクトの元、ベルリンで歌った時には、私のお仲間数名の方が実際に聴いてきて下さって、皆さん口を揃えて
「よく似合ってたよ!」「良かったよ!」
と仰って下さったんですが、どうしてもこの役「だけ」の為に、現地まで聴きに行こういう気力はなかなか湧かないし
(何かのついでがあるとか、近くに住んでいるとかあればね・・・・)

私の趣味嗜好はますます、シリアス志向に傾いてきていること、
彼の声も歌も、シリアスな方が向いているんじゃないかな…と思ってしまうので、
こういう喜劇にハマるのかどうか、私の方に懐疑的なところがあって。
(彼は喜劇も好きなんですヨ。あくまでも私の問題。いけませんね、こういうことでは)

そういうわけで、私にロッシーニアレルギーがある(あった)ので、こうして放送に乗るとかいうことでもないと、なかなか聴く機会がない役です。

今回、サンディエゴオペラが地元向けに流していた情報を、過度になり過ぎない程度にWebベースでも流してくれたのは大きかった。
正直言って「サンディエゴぉ? 理髪師ぃ?」と、斜に構えていたのに、
いつの間にか、放送がすごく楽しみになってました。これは本当に、サンディエゴオペラの広報のお陰(笑)
(尤も、ちゃんと放送予定の昨日は、予め休みを入れておいたんですけどねっ)

「中傷はそよ風のように」は、そんなに力まないで(^_^;) もう少し軽薄に歌ってもいいんじゃないかな?と思ったんですが
彼の真骨頂はアリアよりも、寧ろ重唱とかレチタティーヴォにあると思っているので、ある意味予想通り・・・だったかな(^_^;)
(それと、彼は尻上がりに調子を上げてくる人なので、出て来てすぐに大きなアリアがあるのは、けっこう大変なのかもな…なんて、ちらっと思ったり)

一幕フィナーレの重唱で、最低音がきっちり聴こえてくると、ああ幸せ~~~!と思いましたし
2幕の、猩紅熱だから帰って寝て下さい…と、みんなからまんまと追いやられるところなんかは、きっと(眉尻下げつつ、困り顔してるんだろーなーとか想像すると^m^)可笑しかった(笑)

それと、絡むことの多いバルトロのカルロスさんとのコンビネーションもGood:)
引っ張られて、いい影響を受けていたと思います。

今回、リハーサルの時間もたっぷり取れていたので、アンサンブルのまとまり、めいめいの歌手の連携プレーが秀逸だったのも、楽しめた要因。指揮者Antonello Allemandi氏の手腕が優れているのもね。
初日でこれだけまとまっているのですから、最終日までにはもっと良くなるんだろうなぁ。
行きたくなるな~~~今からだと絶対無理だけど(^_^;)

残り3回も、皆さん調子を崩すことなく最後まで頑張って、舞台を作って欲しいなぁと、ささやかに祈っておきます(笑)

*************************

ヴィノグラードフを追いかけていて「良かったな」と思えるのは、彼の公演が聴けることももちろん、私にとって、大きな喜びですけども、
私が普通に音楽ライフを営んでいるだけでは、知ること、触れる機会があまりないような素敵な演奏家さんたちと共演してくれること。私がまだまだ知らない劇場、コンサートホールで歌ってくれること。私にあまり馴染みのない作品を歌ってくれること。

そういう人たちのことを知ることもできる、色んな場所を知ることもできる。私の知る作品の幅が広がること。

そのような喜びも、実はけっこう大きなウエイトを占めているのかもしれないと、思います。
そして多分、何度も繰り返して、この放送録音を聴くにつれて、この、何気に生真面目なバジーリオが、私のデフォルトになるんでしょう。
いつもそうだもの(^_^;)

Translate »
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。